転職活動の際、履歴書と一緒に作成が必要なのが職務経歴書です。職務経歴書は自分のこれまでの経歴やどんなことをしてきて、何ができるのかをアピールするためにとても大切なものです。今回は、職務経歴書のコツや書くべき項目、提出前のチェックリストをご紹介します。
また、実際に転職に成功して年収が200万円上がり、現在は部署の採用も担当している僕が使っていた職務経歴書のテンプレートもご紹介します。
こういう職務経歴書が嬉しいなという採用者の視点で紹介しています
職務経歴書とは
これまでどんな企業でどんなことをしてきたのか、採用担当から会社の代表まで伝わるように経歴をまとめた書類を指します。伝えなくてはいけないのは、どんな経験と実績に裏打ちされたスキルを持っているか、そしてそれが企業のどんな仕事に生かせそうか、というところです。
履歴書との違い
履歴書はどちらかというと応募者のプロフィールを確認するためのものです。どんな学校を出て、どんな会社に何年勤めていたのか、何か採用をする上で注意すること(既往歴、犯罪歴など)を確認するための書類です。希望年収、居住地なども確認し、年収帯のレンジがあっているか、採用したら通えそうかなども確認します。基本的には職務経歴書も見ますが、採用人数の多い大きな企業だと学歴や容姿でフィルタリングすることもあります。
容姿は重要視はしませんが、迷ったら印象のいい人が選ばれます。
履歴書よりも大事
履歴書の内容はどんなに頑張っても自分が歩んできた人生をほぼ決められたフォーマットに沿って書くことしかできません。せいぜい見やすくなるように改行したり、簡単な業務内容を添える程度です。あとは写真の写りをよくする、手書きであれば綺麗な字で書くなど。
一方で職務経歴書は、自分がやってきたことを相手に存分にアピールできます。どんな企業で何をしてきたか、自分の言葉で伝えることができます。さらに大きなポイントとしては、数字で語れるので説得力があります。例えば履歴書では「美容師として3年勤務」までしか伝えられないところを、職務経歴書では「美容師として3年間、1日あたり10人のお客さまにご対応し、最後の半年は店舗での指名数1位となり、店舗売上の40%を私があげていました。」という感じで細かくわかりやすく伝えることができるのです。
職務経歴書の書き方のコツ
職務経歴書を書く際のポイントは、採用担当者になったつもりで、どんな情報があったら興味を持てるか調査することです。ここでは大手のサイトでも言われていることは最小限に留め、部署の採用を担当している僕の視点からコツを紹介します。
職務経歴書のテンプレートは以下からダウンロードできます。
とにかく採用担当者が読みやすく書く
まず第一に、担当者が読みやすいように書きましょう。ここでいう読みやすさとは、「思考の順番を先読みして書いているか」です。
採用担当者が職務経歴書を見るときの大まかな流れは以下です。
- どこの企業で何年勤めていたのか
- そこで何をしていたのか
- その仕事での工夫した点や達成した目標は何か
- その仕事を通してどんなスキルが身についたのか
- そのスキルはいま会社で必要としているか
- うちの会社に入って何をしたいと言っているか
この思考の流れを意識しながら書きましょう。
個人的にもったいないと思う書き方は、「スキルをひとまとめにして書くこと」です。特に複数社を渡り歩いてきた方は、どの職場でどのスキルを生かして働いていたのかがわかりにくいことがあります。どんな仕事でスキルを生かしていたのか、もしくはそのスキルが身についたのかわかるように書きましょう。
企業名などでスキルの程度を図る意味合いもあります。大手メディアでの編集経験と、スタートアップでのメディア編集経験では身につくスキルも思考も違います。
担当者が知りたいこととは?
担当者が知りたいことは、平たく言うと「会社に入ったら活躍してくれるの?」というところです。一見するとすごく簡単な話のように思えるのですが、これは単にスキルがあればいいというものでもありません。例えば社風に合っているのか、一緒に働く人と空気感が合っているのかなど、応募者側ではどうしようもないと思われる部分まで見られています。
ということで、もしどうしても入りたい!という会社があるのなら、隅々まで情報を手に入れるべきです。そのためには、企業のコーポレートサイトはもちろん、他の求人サイトに載せている情報も、wantedlyも、口コミも見ておくべきです。
詳しくは別の記事「本気で転職をうまく成功させたいあなたが見るべきサイト○選」をご覧ください。企業を丸裸にして、面接で優位に立ちましょう。
枚数はあまり気にしなくてよい
職務経歴書の枚数について、A4用紙2枚程度で収めるようにしましょうという情報が大手の転職サイトのコラムで出ています。
もちろんまとめられるならコンパクトにまとめたらいいと思いますが、転職が初めてではない人、また仕事柄携わったプロジェクトが多い人は書きたいことが山積みだと思います。
そういう人は、2枚の縛りはあまり気にしなくても良いでしょう。それよりも、やってきたこと、できること、これからしたいことが見やすくまとまっていることの方が大事です。
僕は大体4枚くらいになっていましたが、特に長いからという理由で書類選考に落ちたことはないですし、採用する側としてもそんな理由で落としたりしません。普通にもったいないですからね。
とはいえ、多すぎると読む気は失せてしまうので、多くても4〜5枚が限度だと思います。それでまとめきれない経歴は、流して書くものと力を入れて書くものを分けて、メリハリをつけて書くのが良いと思います。
業務での工夫、目標のために行った取り組みを書く
これまで携わってきた業務を羅列するだけでなく、その業務で何を工夫したのかをしっかりと書きましょう。具体的には以下のような取り組みです。
- 制作現場のディレクターを任されたが、連絡系統が不十分で情報が錯綜していたため、現場でヒアリングをした上で報告フローを作成し、連絡系統を作成するところから始めた
- クライアントの引継ぎ時には過去の議事録、資料を見返して、どのような提案が好みなのかを事前にリサーチしてから顔合わせに臨んだ
また、目標達成のためにどのようなアプローチをしたのかも書いておきましょう。具体的には以下のような内容です。
- 競合他社のシェアを超えるという目標のために、競合サービスの弱点を知る必要があると思ったため、実際にサービスを利用して、自社サービスとの比較を進めた
- 自社メディアの流入増加のため、シーズナブルなコンテンツを事前に準備し、クリエイティブの部署と連携し、SNSキャンペーンを企画した
マネジメント経験は自分の責任範囲をちゃんと書く
部下を持ち、マネジメントをした経験がある場合はしっかりとアピールしましょう。その際、自分がどの程度の責任範囲だったのかを明記するようにしてください。
何をマネジメントしていたのかが不明瞭では、そもそもアピールになりません。
基本的に採用側は、どの程度の人数、規模感、外部とのやりとりを任せられる人材なのかを知りたいと思っています。部署の予算を管理する立場だったのか、それとも予算はもっと上の人が管理し、プレイングマネージャーとして人員のマネジメントをしていたのかでは能力も変わってきます。
ここはあまり見栄を張らず、正直に書きましょう。
自己PRは「できること」と「やりたいこと」を分けて書く
自己PRでは、これまでの経験上自分は何が得意で何ができるのかと、会社に入ってやりたいことを両方書きましょう。
何が得意か(=できるか)だけだと、会社に入った後のビジョンが見えないので採用側は少し困ります。どんな仕事を任せるべきだろうかと迷ってしまうし、結果的に仕事に満足してもらえなくて短期離職に繋がってしまったら意味がありません。何がしたいのかが明確に知りたいと思っています。
一方で、やりたいことだけを書かれても困ります。それが自分のスキルと紐づいているならいいですが、そうでない場合は会社でどういったポジションから任せればいいのかが分かりません。大事なのは、会社に入って活躍してもらいつつ、チャレンジしたい新しいポジションも徐々に任せていくことができるかです。
そもそも、転職は即戦力を求める傾向が非常に強いです。そのため、新しいポジションに挑戦したいから入れてくださいと言われても、まずは自分のスキルを生かしてこの業務をやってくれませんか、という形になると思います。
そのため、「スキルを生かしつつ、その幅を広げていきたいので御社のこの事業にも携わっていきたいです」というPRにしましょう。
職務経歴書に必要な項目
職務経歴書は基本的にフォーマットが自由ですが、最低限必要な項目はあります。項目とその書き方について見ていきましょう。
経歴概要(サマリ)
職歴を分かりやすく伝える文章です。「あなたを一言で例えるとどんな人ですか?」という質問に回答する形で書くと良いでしょう。セールスポイントを書くイメージです。
椅子を例にして例えると、「姿勢をよく支えるためのランバーサポート付きの椅子で、腰の負担を軽減します。」という感じです。採用側があなたを欲しいと思えるかどうか、という点で、恥ずかしがらずにアピールするのが良いです。
職務経歴概要
職務経歴の概要は以下の点を含めて書きましょう。
- どこで
- 誰に対して
- どんなことをしてきたか
- その成果
上記を書く際のポイントとしては、「数字を使う」ことです。数字によって具体性が生まれます。特に実績については数字でビフォーアフターを書きましょう。規模感がわかるので評価しやすいです。
得意分野
得意分野の書き方ですが、基本的には「こういうことをしてきたので、こういうことが得意です」と書きましょう。
これが得意ですとしか書かない場合、何に裏打ちされた得意なのかが分からず、書類上では評価がしにくいです。応募人数が多い場合は書類で落とされる原因になります。
保有資格・スキル
業務に関連する資格やスキルは必ず記載しましょう。また、ない場合は「特になし」と書いておけば良いと思います。
個人的には、関係ない資格も書いておくといいと思います。例えば僕は世界遺産検定1級を持っていますが、それを書いていたら雑談ベースで盛り上がり、結果的に好印象に受け止めてもらえたと思います。そういった側面もあるので、面白い資格を持っている方はそれを書いておくのがいいでしょう。
また、異業種への転職の場合は前職で取得した資格も書いておきましょう。評価できる項目が少ないので、前職で何を頑張っていたのかアピールすることにもつながります。
強み・これからやりたいこと
強みや今後やりたいことはしっかりとアピールしましょう。
強みについてですが、自分がどんなことができて、どういった業務で活躍できるかを書面で伝えられるかは重要です。採用側がどういったポジションを任せればいいのかをイメージしやすいですし、自分を分かりやすくアピールできる人はそれだけで優秀に見えます。
これからやりたいことは、できる限り明確に書くと良いでしょう。仮に自分の経験やスキルを生かした仕事から任されたとしても、その後のキャリアプランについて合意したうえで入社することが可能です。
採用担当者が職務経歴書で見たいポイント
実際に部署の採用を担当している僕が意識している、職務経歴書で見たいポイントをご紹介します。
経験・スキルの合致度
まずは、どういった経験をしてきたのか、どんなスキルを持っているかを見ます。基本ではありますが、ここで見たいのは具体的な経験です。どんな会社でどんな業務に従事していたのかが明確にイメージできると、面接でどこを掘り下げればいいのか分かるので好印象です。
スキルは難しい言葉や専門用語を並べるだけになっていないかチェックします。要約しようとするとどうしても専門用語を使いたくなるのですが、相手がその用語を知っているとは限りません。たとえ同じような業界だとしてもです。そのため、相手がどういった立場の人でも理解できるような言葉で書くのが良いでしょう。
業務への姿勢と結果
次に見たいのが、業務への姿勢です。基本的にどこの会社でも積極性があり、自分で工夫して改善できるかどうかを重視していると思います。そのため、業務で工夫した点は主語と述語をしっかりと書くようにしましょう。
具体的には、あなたが誰に対して働きかけて、何を変え、結果どうなったのかを書いてください。
営業であれば、従来はお客さんに対してこんな提案をしていたが、こんな課題があったので、上司に働きかけてアプローチの手法をこんな感じで変えた。その結果、このくらい営業成績が伸び、営業チームでその手法を共有してチームの成績も向上させた。という感じです。
ちなみに、ここで嘘をついて他の人の手柄を自分のことのように語ると、大抵バレます。どこかで急に話の抽象度が上がって、フワッとした話になるからです。些細なことでもしっかり話せばアピールになるので、嘘はつかずに自分のやったことだけを話すようにしましょう。
自分の強みが理解できているか
自分がどんなことが得意で、この会社でどういう形で貢献してくれるのかをイメージできるかどうかが重要です。多くの企業は、欲しいポジションにぴったり当てはまるような人間を求めています。「この強みがあるってことは、いま会社に入ってくれたら業務が効率的に進むなー」と感じたら、基本採用の方向で調整します。
どんな仕事がしたいのか、向上心はあるか
自分がやりたい仕事がはっきりしていると好印象です。面接で認識をすり合わせやすいですし、会社側がその機会を提供できるかどうかを伝えやすいです。また、認識の齟齬がなければ結果的に離職する可能性も低くなりますし、お互いにとってメリットがあると思います。
また、かなり個人的な視点になりますが、条件面で年収を譲れない人ほど欲しくなります。自分の利益のために会社を利用する気持ちが強いということは、多少仕事がきつくても頑張ってくれると思うからです。やりがいを求めて入社してくるような人は、仕事がキツくなると逃げ出してしまうイメージがあります。あくまで経験談ですが。
職務経歴書のフォーマット
職務経歴書のフォーマットには大きく3種類あります。それぞれメリットデメリットがあるので、それを紹介します。
職務経歴書のテンプレは以下からダウンロードできます。
編年体形式
編年体形式では、自分の経験やキャリアを時系列で記載していくものです。最も一般的な書き方だと思いますので、この書き方をしておけば基本的には問題ないです。
メリット
- 採用担当者が見慣れている
- 順番通りに書いていくだけなので書きやすい
- 履歴書と照らし合わせて確認できる
デメリット
- どこの経験が最も濃いのかが伝わりにくいことがある
- バランスを考えて書かないと長くなりがち
逆編年体形式
逆編年体形式は、最新の業務内容から時系列を遡って記載していくものです。主にアピールしたい経歴が直近のものだったり、社会人歴が長くて新卒から順に書くよりも現在のステータスが相手に伝わりやすいという場合は逆編年体形式も良いでしょう。
メリット
- 直近の業務内容がアピールしやすい
- 社会人歴が長い場合に書きやすい
デメリット
- 採用担当者があまり見慣れていない
- 経験が少ない場合は拍子抜けする(これしかないんかい!って思われる)
キャリア形式
キャリア形式は、時系列順ではなく関わったプロジェクトごとに記載したり、業務経験ごとに記載する方法です。実績のアピールがしやすい、様々なプロジェクトに並行して参画していた場合は時系列よりも伝わりやすいです。
メリット
- 経験やスキルを伝えやすい
- 複数のプロジェクトに参加してきた場合にまとめやすい
- 転職回数が多い場合に書きやすい
デメリット
- 採用担当者が見慣れていない
- どんなキャリアプランでスキルアップしてきたのか分かりにくい
- 履歴書と照らし合わせにくい
提出前のチェックポイント19個
最後に、提出前のチェックポイントをご紹介します。
全ては「担当者に見やすく、分かりやすいものになっているか」という視点で確認しましょう。
色々と確認事項はありますが、この中でも特に忘れがちなのは日付を最新に更新することです。最終確認したという意味も込めて、転職サイトに提出するものは提出した日付を、面接で持参するように言われた場合は面接日の前日の日付にしておきましょう。
基本的に内容がしっかりと書かれていれば問題はないですが、例えば「細かい作業や確認が得意です」というアピールポイントを書いている人が誤字脱字をしていると「ほんとかな?」と印象が悪くなってしまうので、基本に忠実に提出前の最終確認を行いましょう。
まとめ
今回は職務経歴書の書き方について解説してきました。
採用担当者としては、分かりやすく、魅力が伝わるように書いていただきたい!ということ以外ありません。アピールするポイントはどんなに些細なことだっていいんです。特に第二新卒や20代の転職の場合、まだまだ経験が足りていないことなんでたくさんあります。
応募者に会社で生かしたい得意分野があって、今後やりたいことを会社側が提供できると判断したとき、それがご縁です。
あまり自分を飾りすぎず、かといって謙虚になりすぎず、ありのままの自分をアピールしましょう。
履歴書の書き方は以下の記事を参考にして下さい。
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