転職をする際、できればブラック企業は避けたいと思っている方も多いでしょう。
今回は、転職者向けに求人票や面接でブラック企業を見抜く方法をご紹介します。
ブラック企業の求人票の特徴
ブラック企業の求人票には共通点があります。
まず、ブラック企業が求人を募集する背景について考えてみましょう。
- すぐに人が辞めてしまうので、とにかく働き手がほしい
- どんな人でも入ってしまえばなんとかなる
- 安くたくさん働いてくれる人がほしい
こんなことを考えつつ、ブラック企業は募集をしています。その背景が求人票にどう表れるのかを見ていきましょう。
募集期間が長かったり、ずっと募集している
まず、ブラック企業は求人の募集期間が他の企業よりも長いです。もしくは、短いスパンの求人を掲載期間が終わったらすぐに再掲載し、常に求人を募集するようにしています。
ブラック企業は人がすぐ辞めるので、どんどん補充していかないと人が足りなくなります。それを回避するために、とにかく募集を続けるしかないのです。
また、この点では大学生にも注意してもらいたいのが、wantedlyでインターン募集をしている企業です。
企業で働く側になればわかりますが、インターンは雑用に最適です。給料も安く、仕事を覚えるのが早いですし、内定をチラつかせればそれだけでもちゃんと働いてくれます。
インターンで入る場合は、大学生じゃないとできない仕事かどうかを確認するようにしましょう。「大学生の視点でインスタの運用をしてもらいたい」などは問題ないです。
給与の振れ幅が大きい
高い給料をチラつかせておけば、応募の母数が増えます。もちろん、その給料を支払うという確約ではないため、極論を言えばいくらでも嘘を書けます。
僕が勤めていた会社では、メンバークラスの募集に対して部長の給料を見せて釣っていました。そういう企業が世の中にはたくさんあるので、給料の振れ幅が大きい会社は注意した方がいいでしょう。
また、「給料は本人のスキルを見て相談のうえ、決定」といった文言が書かれている場合も注意しましょう。これは求人サイトへの提示額よりも下げて入社させるために書かれていることが多いです。書いてある額よりも多く支払う会社は滅多にないので、気をつけてください。
基本的に、ブラック企業は狡猾です
業務内容が不明瞭
何の仕事をやるのか明確に書いていない場合、ブラック企業の可能性が高まります。
業務内容をはっきり書けない理由は以下の3点です。
- 業務内容が多すぎて絞れない
- 担当者がすぐ辞めるので、仕事が整理されていない
- 雑用をやってもらいたいけど、それだと人が来ないので書けない
ブラック企業は人がすぐ辞めてしまうので、社内で仕事を整理できていないことが多いです。開いた穴を埋めるために、とりあえず人を雇っては乱暴に仕事を任せるというのが常態化しています。
また、本当は雑用をやってもらいたいんだけど、それを求人票に書いたら応募数が減ってしまうので書けないというパターンもあります。そのため、「成長」や「スキルアップ」という甘言を使って濁しているケースが多いです。
そもそも、自分の業務内容が不明瞭だと、自分の転職の軸がずれてしまうことにも繋がりかねません。自分の強みと、これからやりたいことを自己分析してから転職活動をスタートさせているはずなので、これから何をやらせてもらえるのか不明瞭な会社はパスしておいた方が賢明です。
自己分析の具体的な方法については、以下の記事も参考にしてください。
ブラック企業の面接の特徴
続いて、ブラック企業の面接の特徴をご紹介します。
求人票では見抜けなかった場合は、面接で以下の点に注目してみましょう。
求人サイトと選考フローが違う
まず、求人サイトに書いてあった選考フローと違う場合があります。面接の回数が増えたりするのはたまにありますが、例えばテストライティングが急に入ってきて、課題を出されるというケースがあります。
このテストライティングは、会社によってはそのまま自分たちのリソースとして使用することがあります。「このお店の紹介文を書いてみてください」というような選考フローが来たら注意です。
僕はSEOディレクターの選考でテストライティングが差し込まれ、お店の紹介文を3つ書かされそうになりました。辞退してよかったです。
自社の書籍やサービスについて感想を求められる
スタートアップに多いですが、自社の関わった書籍や代表が書いた書籍について感想を求められることがあります。それ自体が悪いことではありませんが、会社への忠誠を誓えるかどうかを試される場合があり、注意が必要です。
この本の内容が私たちの価値観だから、これに従ってもらうけどいい?というような質問をされたらその会社はやめておいた方がいいでしょう。
宗教チックな会社だと、忠誠心の高い社員が基準になります。サービス残業が横行する可能性が高いので注意しましょう。
自分の価値観を曲げてまで働くことはやめましょう。幸せな転職にはなりません。
面接回数が多い
ブラック企業は面接回数が多い傾向にあります。正確には、面接回数が増えることがあります。
これは、よりしっかりとあなたのことを知りたいというわけではなく、単にスケジュールを把握できていないためです。ブラック企業の場合は採用担当者がいないことも多く、採用予定部署の上長がとにかく多くの人と会って進めることがあります。それで、都合が合わなくなると他の社員に面接を任せ、自分のスケジュールが合うタイミングで面接をするということがあります。こうして、面接回数が増えていきます。
面接が増える理由が「都合がつかなくなった」という理由なら、やめておいた方がいいでしょう。
面接場所がオープンスペース
通常、採用面接は会議室などを使って行われます。面接時には個人情報を扱うので、プライバシーを確保して行うのが当然です。それすらもできない企業は絶対に辞めておくべきです。
スタートアップ企業など、そもそも会議室が取れないというケースもあります。そういった場合は仕方ない部分もありますが、それでも貸会議室をとったりするのが普通です。面接場所がオープンスペースだった場合は、その時点で選考辞退が良いでしょう。
面接の時間を守らない
上記に関連して、面接の時間を急に早めたり、遅らせたりすることがあります。
また、酷いケースでは面接官が何も言わずに遅刻することも。
企業からしたら、面接にいらした方は「お客様」です。それを、自分の都合で連絡もなしに遅刻するのは信用に値しません。迷わず選考辞退でOKです。
どんなに忙しくても、遅れる場合は電話の一本でも入れるべきです。それをしないということはあなたのことを大切には思っていませんので、やめておきましょう。
面接官が一方的に話しまくる
採用面接は基本的に採用候補者の人となりを知り、求める人材かどうかを判断するものです。そのため、面接官のスタンスとしては質問することが多くなるはずです。
- 職務経歴書の詳細
- 会社のHPなどでの疑問点
- 今後挑戦していきたいこと
このあたりを質問して、会社の欲しい人材かつ候補者の成長を感じられる環境だと判断したら内定が出ます。
ところがブラック企業の場合は、基本的には「誰でもいい」ので、働く意欲があってそれなりに社会人経験があれば入社が可能です。あなたの話を聞くというよりは、取り繕った自社のいいところを余すところなく伝えることで、少しでもいい会社だと思ってもらうことに心血を費やします。
面接においては候補者が自分を盛ることが多いと思われていますが、実際は企業も自社を盛っています。騙されないようにしてくださいね。
これまでの経歴にあまり触れない
上記に関連して、経歴をあまり聞いてこない場合は怪しいです。転職活動の面接においては、職務経歴書を深掘りした話が出るのが当たり前です。社会人経験があるのだから、何をやってきたのか、どんなスキルがあるのかを聞き取り、会社に必要かどうかを見るための面接ですから。
それを聞いてこないということは、スキルではなく単に人が欲しいだけということになります。
経営者目線を求めてくる
メンバークラスに経営者目線を求めることは悪くはないですが、普通はそんな必要はありません。もし部長や課長など役職につく前提での面接であれば経営者目線も必要ですが、そうでない場合はスキルが合致しているかどうかの方が重要です。
とにかく経営者目線を求めてくる場合は、拝金主義の会社の可能性が高く、サービス残業が常態化していることもあります。利益主義は会社として当然ですが、その仕組みを作っていくのは経営者の役割であり、マネジメントされる側にそれを求めるのはそもそも間違っています。
面接担当者が会社のことをあまり知らない
ブラック企業は人がすぐに辞めてしまうので、面接担当者が入社してまだ日が浅いというケースが往々にしてあります。
本来、人事や面接担当者は知っているべきですが、ブラック企業だとそんなに会社のことに詳しくないこともあります。また、会社のことを知ってはいるけど教えられないというパターンも考えられます。
ホームページを確認し、事業についていくつか質問をしてみると会社について知っているかどうかわかると思うので、確認してみましょう。
法律を犯している
面接時間が就業時間をすぎて設定できる場合は、残業が常態化している可能性があります。
また、休日や遅い時間に会社の近くに行けるなら、電気がついているかどうかをみてみましょう。電気がついている場合、休日出勤や残業が多い可能性があります。
以前勤めていた会社では、上場のために残業時は電気を消してひっそりとやるように指示されていました。もちろん、給料は出ません。
面接で質問するべきポイント
実際の面接では、以下のことを質問してみましょう。
口コミサイトでも確認できますが、実際に面接官に聞いてしまった方が分かりやすいです。
離職者の理由
離職の理由はかなり重要です。以下のような理由が挙げられた場合は注意しましょう。
- 会社と合わなかった
- 給料に不満があった
- 体調を崩した
これらが理由として挙げられる場合は、ブラック企業の可能性が高いです。
ただし、離職の理由はそう簡単に教えてくれない場合がありますので、あくまでも参考程度に考えておきましょう。
給与体系
求人票に書いてあることが多いですが、確認しておきましょう。
みなし残業という言葉が出た場合、ほぼ100%残業が多い会社ですので注意してください。
また、給料がどうやったら上がるのか、評価制度についても聞いておくべきでしょう。
自分の仕事と評価制度があっていない場合、どんなに成果を出しても給料が上がらないということがあります。
前職は評価システムがあっておらず、どんなに成果を出しても給料には反映されずに苦労しました。
残業時間
残業時間がどのくらいあるのか、そして残業代の支給の方法についても聞いておきましょう。
残業代が1分単位で出る企業もあれば、30分単位、1時間単位でしか出ない企業もあります。また、そもそも契約によっては残業代が出ないことがあります。注意しましょう。
給与体系については以下の記事で詳しく解説しています。基本的には契約してしまったら自己責任になるので、十分に確認するようにしてください。
会社の価値観
会社の価値観を質問して、拝金主義に感じられる場合はやめておいた方がいいでしょう。会社は営利組織なので利益を求めるのはもちろん大事ですが、それが全面に出ていて、社員を軽視するような会社も多いのが現実です。
「こんな理念があり、その実現に向けてこんな事業をしている、だから、社員にはこういう姿勢を求めている」といった形で説明してくれているかどうかを重視してみてください。
その他、見ておくべきポイント
そのほか、面接時にチェックしておきたいポイントをご紹介します。
面接官の態度が悪い
面接官の態度が悪い場合は注意が必要です。
今はSNSも口コミサイトもあるので、企業の顔になる面接官の態度が悪い場合は晒されます。しっかりした会社であれば、評判を考えて丁寧な対応をするはずです。採用候補者を下に見るような発言がある場合は絶対に入らない方がいいでしょう。
社員が挨拶できない
上記に関連して、お客さんに対して挨拶ができない社員が多い会社は絶対にやめておきましょう。その会社に入ったら、自分もそういった人間になってしまいます。少しでも違和感があったらやめておくべきです。
日本には400万社の企業があります。なんとなく嫌だなと思った自分の直感は信じるべきです。
カタカナを多用する
面接においてカタカナ語を多用してくるような場合は注意しておきましょう。中身のない会社の可能性があります。
初対面の人であれば、言葉は分かりやすいものを選び、誰に対しても通じるように話すのができるビジネスマンです。
相手の質問が分かりやすいかどうかは、会社を測る指標だと思って面接に臨みましょう。
面接官の人数が多い
面接官の人数が多い場合、以下のようなことが考えられます。
- 採用担当者が会社のことを把握していない
- 圧迫面接にすることで採用者を試している
- 面接が一種のストレス発散になっている
多くは採用担当者が会社のことを把握していないため、その部署の担当者を呼ばないと説明できないというケースだと思います。これは適切な面接を行ううえで必要になるのも理解できますが、単に圧迫面接にして採用者を試そうとしている場合があります。こういった会社は働いていても高圧的な態度で言うことを聞かせるという手法をとることが多いため、やめておきましょう。
まとめ
面接でのブラック企業の見抜き方をご紹介しました。
面接は、お互いのことをよく知って、ミスマッチを防ぐのが目的です。会社のことをよく知れなかったな、あまり自分の経験について聞かれなかったなという場合は辞めておくのが賢明です。
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