営業の職務経歴書では、売上の数字だけでなく、商材・顧客・担当工程・自分の行動をつなげて整理しましょう。同じ「営業」でも、新規の顧客開拓から担当した人と、契約後の継続支援を担当した人では、伝える経験が異なります。部署全体の成果を自分の成果へ置き換えず、実際に説明できる範囲を明確にすることが出発点です。
この記事は、営業経験を職務経歴書へ整理するための棚卸し例です。書類全体の構成は職務経歴書の書き方、相談先の比較は営業職の転職サービスの選び方に分けています。特定の書き方で採用されることを保証するものではありません。
まず「何を、誰に、どの方法で扱ったか」を分ける
厚生労働省のjob tag「営業の仕事」は、勤務先の企業形態、対象顧客、営業方法など、複数の切り口で営業を紹介しています。職種名だけをそろえるより、自分の担当した仕事の条件を書き出す手掛かりになります。
| 整理する軸 | 書き出す内容 | 注意点 |
|---|---|---|
| 商材 | 扱った商品・サービスと、顧客が利用する目的 | 機密の商品情報や未公表の条件は書かない |
| 顧客 | 法人・個人、担当した規模や相談相手の役割 | 顧客名を出せるかは別に確認する |
| 営業方法 | 新規開拓、既存顧客への提案、問い合わせ対応など | 部署の仕事と自分の担当を区別する |
| 担当範囲 | 初回接点から、提案・契約・導入後支援までの担当工程 | 一部の補助を全工程の担当と表現しない |
この表は棚卸し用の編集例です。自分が行っていない方法まで経験欄へ足す必要はありません。複数の商材や顧客を担当した場合は、まず原本のメモで分けてから、応募先に関係する経験を選びます。
営業工程を、自分の動作へ分解する
「提案営業を担当」とだけ書いていた場合は、顧客の課題を聞いた、比較資料を作成した、見積もり条件を社内で調整した、導入後の問い合わせを整理した、など実際の動作へ分けます。同席した工程と、自分が主体となって進めた工程も区別しましょう。
マイジョブ・カードの「様式2 職務経歴シート」も、職務の内容に加え、果たした役割や貢献したことを記入するよう案内しています。役割を具体的にすることは、売上の大小だけに頼らず経験を説明するための基礎になります。
- 顧客との最初の接点は誰が作ったか
- 自分が聞き取り、整理した課題は何か
- 提案・見積もり・契約のうち、どこまで担当したか
- 価格や納期などを誰と調整したか
- 導入後に何を確認し、次の提案へどうつなげたか
管理職であれば、自分が持つ顧客と、チームの育成・進捗管理の役割を分けます。部下の実績を合計した数値だけで、自分の貢献を説明し終えないようにします。
数字には、対象期間・範囲・定義を添える
実績を記載する場合は、その数字が何を数えたものかを確認します。受注額、売上額、粗利、新規契約数などの名称や社内の集計方法を確認し、違う指標を同じものとして比較しないでください。応募先でも同じ定義が使われているとは限りません。
| 数字 | 一緒に確認すること |
|---|---|
| 売上・受注などの金額 | 対象期間、対象顧客、個人かチームか、どの段階の金額か |
| 目標達成率 | 同じ期間・範囲の目標と実績か、社内でどう計算していたか |
| 新規契約数 | 契約の数え方、担当期間、共同担当の有無 |
| 継続・更新の実績 | 対象となる顧客や契約の範囲、集計期間、判断した基準 |
例えば、単純に「実績÷目標×100」で計算する達成率なら、同じ単位の目標100に対し実績120で120%です。これは計算を説明する架空例で、実在の成果ではありません。目標が0や未設定なら、この式で達成率を作れません。数字が確認できない場合は「未集計」のまま原本へ残し、記憶だけで割合を作らないようにします。
前年比などを使う場合も、比較する期間や担当範囲が違えば、単純な増減だけでは説明しにくくなります。顧客の担当替えなど、実績を読む上で必要な前提があれば、開示可能な範囲で添えましょう。
結果と、自分が行ったことを一組にする
次は記載方法を考えるための架空例です。実在の応募者の実績ではなく、そのまま転記して使うための文章でもありません。
| 元のメモ | 事実を確認して具体化する方向 |
|---|---|
| 顧客対応を頑張った | 既存顧客の利用状況を確認し、問い合わせを整理。技術担当への確認事項をまとめ、次回の提案内容に反映した |
| 新規開拓を担当した | 対象となる企業の情報を整理し、初回連絡から課題の聞き取り、提案機会の調整までを担当した |
| チームの売上に貢献した | チーム全体の結果とは別に、自分が作成した提案資料、担当した顧客、社内調整の役割を説明する |
実際に行っていない顧客分析や資料作成を足さないでください。チームの成果を示す場合は、全体の結果と、自分が担った工程を別々に書きます。成果の原因を一つに決められないなら、「この行動だけで売上が伸びた」と断定する必要はありません。
金額を開示できないときに整理すること
勤務先の規程や秘密保持の条件を確認し、開示できない顧客情報、契約条件、未公表の数値を応募書類へ載せないようにします。顧客名を伏せても、商材・地域・規模などの組み合わせで特定される場合があるため、匿名化だけで十分だと決めつけないでください。
金額を示せない場合も、担当した工程、案件を進める上での課題、関係者との調整、実施した確認の手順は、説明できる範囲がないか検討できます。数値の代わりに「圧倒的な成果」などの根拠のない表現を置くのではなく、面接で説明できる行動を残します。社内の顧客管理画面や提案書を、実績の証拠として無断で添付しないでください。
応募先の条件と経験を並べ、足りない部分を混ぜない
棚卸し原本から、求人の担当業務に対応する経験を選びます。法人営業の経験を求める募集なら、自分の顧客や担当工程のどこが対応するかを確認します。新規開拓を補助しただけの場合は、単独で担当したように書き換えず、補助の内容と今後学ぶ必要のある点を分けます。
応募条件の判断は必須条件・歓迎条件の読み分けも使って整理できます。求人の語句を経歴書へ写すことと、その業務を経験していることは別です。応募先によって変えるのは、説明の順番や詳しさであり、在籍年月や担当範囲の事実ではありません。
提出前に確認する五つのこと
- 商材・顧客・担当工程が、職種名だけでなく説明されている
- 個人・チーム・補助の範囲を区別している
- 数値の期間・単位・集計方法を説明できる
- 秘密情報や第三者の個人情報を無断で含めていない
- 面接で自分の行動と確認手順を説明できる
まず一つの案件や担当業務について、工程と自分の役割を整理してみましょう。経験が短い場合も、担当していない仕事を増やす必要はありません。完成した原本をもとに、応募先へ関連する経験を選び、書類全体の構成へつなげます。
参考(2026年11月2日確認):厚生労働省 job tag「営業の仕事」、マイジョブ・カード「様式2 職務経歴シート」。棚卸し表、指標の点検方法、架空の記載例は本記事の編集例であり、各機関が定めた採用基準や標準書式ではありません。
