近年話題になっている退職代行サービスですが、近年は就業規則で「退職代行サービスを使った退職を禁止する」という文言を記載しているケースが多いようです。
今回は、退職代行サービスを就業規則で禁止することが可能なのかと、なぜ禁止しようとするのかという背景について採用担当者の目線で解説します。
退職代行サービスとは
まず退職代行サービスについてですが、退職を希望する人が会社とのコミュニケーションや退職にかかる手続きの一切を代行するものです。
- パワハラが原因なのでもう顔も見たくない
- 適応障害を発症しているので会いたくない
- 辞め方が悪かったのでもうサクッと辞めたい
こういった理由の時に使いやすいと思います。
おすすめの退職代行サービスについては下記の記事を参考にしてください。
非弁行為に当たらない業者を選ぶようにしましょう。
就業規則で退職代行を禁止できる?
結論、就業規則で退職代行サービスを禁止することはできません。
正確には、就業規則に退職代行サービスを利用しての退職を禁止すると明記することは問題ないですが、それを守るための法的な根拠がないということです。
就業規則に書いてあるから使っちゃダメなんだとあきらめなくて大丈夫です
就業規則と民法の関係性
そもそも就業規則は、会社で定めたルールです。退職におけるルールは、就業規則のほかに民法でも定められています。
当然ですが、「就業規則<民法」ですので、就業規則で退職についていくらルールを定めたとしても、民法に記載のある退職のルールが最優先となるのです。
民法で定められている退職(労働契約の解消)に関するルールは、2週間前に通告するというものだけです。よって、退職代行サービスを使ってはいけない法的根拠はありません。
退職代行サービス側もこの法的根拠に基づき、問題ないという回答をするはずです
なぜ退職代行サービスは嫌われるのか
退職代行サービスは、就業規則で禁止するほどに企業側は使ってほしくないものです。この理由は主に2つあります。
引継ぎが全くできない
退職代行サービスが嫌われる理由の大半は、業務の引継ぎができない点でしょう。
そもそも就業規則で退職の1か月前には申し出ることとされているのは、円滑な業務の引継ぎをするためです。
退職代行サービスを使用されてしまった場合、本人と連絡を取ることは基本的に禁止されます。つまり、引継ぎが全くできないのです。
ほかの人と一緒に業務を担当していた場合はまだ何とかなりますが、例えばアカウントごとに担当がいた場合、資料などの共有が全くされないことで会社側が大きな不利益を被ります。
とはいえ、退職する側には引継ぎを必ずやらなくてはいけないという法的根拠はありませんので、そのまま辞めても何の問題もありません。
できれば引継ぎはした方がいいですけどね
退職代行業者の確認が面倒
退職代行サービスが嫌われるのは、そのサービスが本当に存在しているのか、非弁行為に当たる業者ではないかなどの正確な調査が必要だからです。
最近では退職代行サービスが流行っていることもあり、退職代行サービスを名乗る詐欺なども可能性があります。
また、そもそも退職者に代わって手続きをすることのできる資格を持っているのかを調べなくてはいけません。弁護士資格を持っていない場合、有給消化や退職日の交渉ができませんので、ただのメッセンジャーです。
退職代行を使うなら弁護士資格を持っているかは確認しておきましょう
まとめ
退職代行を禁止する企業が増えてきていますが、その法的根拠はありません。どうしても使いたい場合は就業規則を守らずに使ってしまっても問題はないでしょう。
ただし、職場との関係性は悪くなる可能性がありますので、同じ業界で転職を検討している場合などは退職代行サービスを利用するかどうかよく検討しましょう。
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