SPIといえば新卒の頃に必死に勉強した記憶のある方も多いかもしれません。実は、転職活動でもSPIを受検する必要のある企業があります。
今回は、中途採用におけるSPIの目的や対策について解説します。
SPIとは
そもそもSPIとは、Synthetic Personality Inventory(総合適性検査)の略です。
簡単にいえば、仕事をするうえで求められる能力や性格を持っているかどうかを判断するための検査ということになります。
能力検査
能力検査は、言語分野と非言語分野の2種類の問題があります。
コミュニケーションを取るために必要な言語能力があるのか、数的な処理能力があるのかを測ります。
しっかりと対策をして臨む人が多いのが特徴で、正答率などによって出題される問題は変化します。そのため、後半になるにつれて問題が難しく感じたり、反対に拍子抜けするくらい簡単な問題が出題されることもあります。
基本的に、難しい問題が多いと正答率が高い証拠のようです
性格検査
職業に貴賤はありませんが、少なくとも向いている性格というものがあります。例えば、コミュニケーションを取るのが苦手な内向的な人が、ツーブロックゴリラがたくさんいる営業会社に向いてはいませんよね。そういったミスマッチを防いだり、職場に合わずに短期離職をしてしまう人を減らすためにも性格検査が実施されます。
出題内容は、日頃の行動や考え方に関する質問に対し、どのくらい自分に当てはまるのかを回答していきます。
英語能力検査
採用職種によっては、能力検査と性格検査のほかに英語能力検査を受けることがあります。外資系の企業やクライアントに外資系が多い場合は英語能力検査も受検することがあるという形です。大半は受検しません。
英語能力検査は対策本なども少ないので、気を付けましょう。
中途採用でSPIを導入する目的
新卒の時は、応募者が多いため足切りをするという名目でSPIを導入している企業も多いでしょう。一方で、中途採用でSPIを導入する企業の場合、基本的には足切り目的ではなく、その人を深く理解して会社ですぐに活躍してもらうために行います。
応募者が多い場合は足切り目的もありますよ
新卒より選考で扱う情報が多いから
まず、中途採用は基本的にキャリアを積んできた人を面接します。履歴書や職務経歴書に書いてあることを確認していく中で、その人の人となりや性格まで把握することは意外と難しいです。そのため、性格上のミスマッチを防ぐ目的でSPIを受けてもらい、短期離職を防止するのです。
短期離職は企業も応募者もかなり損をしてしまいます。
即戦力を求めているから
もう一つの理由は、基本的に中途採用は即戦力を求めているため、現場で働く人にどんな人かを詳細に伝える必要があるからです。
どうしても面接官の主観が入ってしまい、充分に情報を共有できないこともあります。そのため、SPIのように客観的な指標を共有し、指示の仕方などをあらかじめイメージしておくことで円滑に業務を回していく目的があります。
実は、SPIには入社後の育成用報告書があるんですよ
選考のどのタイミングで行われる?
基本的に、SPIは一次面接の前か一次面接と同じタイミングで実施されることが多いです。
受検方法は口述しますが、大半が自宅のパソコンで受検するWEBテスティングという方式です。
受け忘れないように注意です
SPIの結果は企業に重視される?
結論から言うと、一定の点数以上取っているかどうかしか見ていません。
その基準は企業によって異なります。コンサルや大手企業の総合職ポジションはそれなりに高い水準でしょうし、中小企業ではそこまで高い水準は設定していないと思います。
一方で性格検査については、職場の雰囲気にマッチする人材かどうか、業務内容に合っているかどうかを確認します。いくら能力が高くても、会社の風土と合わないと早期離職に繋がってしまうため、どちらかというと性格検査を重視する企業が多いです。
僕の勤めている会社でも性格検査を重視しています
SPIで落ちることはある?
結論、落ちる人はいます。しかし、あくまで参考程度として利用している会社が多い印象です。
新卒採用の時は足切りにも使用されますが、中途採用の場合は即戦力重視ですから、基本的に基礎能力よりもこれまでの職歴や経験を重視します。その中で、「この人は自社に絶対に合わないよね」という人を弾くために使用されるイメージです。
ただし、応募者が多数いて経験にも差がない場合は、SPIの結果をもとに決められることもあります。そのため、手を抜いて受検していいというわけではありません。
僕の会社では、面接9割、SPI1割くらいの重要度です
問題のレベルや出題内容
実は、SPIには以下の2種類があります。
- U:大学新卒採用向け
- G:中途採用向け
これらの違いは、問題の難易度ではなく、得点を算出する際の母集団が異なります。Uの場合は学生を母集団として算出し、Gの場合は社会人を母集団として算出します。
特に出題形式や難易度が異なるというものではありません。
新卒向けと同じレベル
たまに新卒のSPIよりも簡単だと言われることもありますが、それは嘘です。
基本的には問題のレベルは変わりません。
新卒の時より簡単に感じたのなら、きっとあなたが成長しています
正答率は多少低くてもOK
これは企業によるため断言はできませんが、少なくとも新卒よりは正答率は低くても問題ないと思います。その理由は下記の2点です。
- 企業はあくまでも職歴などを重視して、即戦力を採用したいと思っている
- 社会人がSPI対策に時間をかけられないことくらい採用側も分かっている
新卒の時よりはできなくても問題ないですが、例えば戦略コンサルなどを志望する場合は周囲がとても優秀なため、並みの成績ではまず通らないでしょう。そういったことも考える必要があります。
SPI対策の方法
SPIは対策しても得点は変わらないと言われています。そもそも処理能力を測れるように作られているテストなので、付け焼刃の対策ではほとんど意味はないと言えます。
ですが、「SPIの出題形式に慣れる」ことはとても重要です。
ちょっとでも処理速度をあげられるように、対策しておきましょう
能力検査の対策
能力検査では、「自分の実力を充分に発揮できるか」を重視しましょう。
問題への解答方法を理解しておらず、答えは分かっているのに問題を解くのに時間がかかってしまったというのではもったいないです。
SPIの特徴的な解答形式として以下が挙げられます。
- 手元で計算し、画面で答える
- 前の問題には戻れない
筆算などは画面外で行うため、パソコンで受検するとしても筆記用具は準備しておくようにしましょう。
また、SPIは問題の解き直しができません。次の問題に進んでしまったらもう前の問題に解答することはできないため、分からなかったら何か選択して次に進むようにしましょう。
性格検査の対策
性格検査は特に対策する必要はありませんが、結構長いので時間に余裕のあるときに受けるようにしましょう。
ポイントは、自分を正直に出すことです。内定をもらうことが目的とはいえ、自分を偽って入社しても後でつらい思いをするだけです。人には向き不向きがあります。そして、それは性格検査で嘘をついてしまうと事前に対策できなくなってしまいます。
自分の働きやすい会社で、自分のやりたいことをして毎日過ごせるのが最高の状態です。
とにかく直感的にサクサク解いていくのが最も正確ですよ!
能力検査は全問解かなくてもOK
能力検査は、基本的に全問解き切る必要はありません。むしろ、全部解き切れる人はほとんどいないかもしれません。
そもそも、パソコンでの能力検査ではIRTという技術が使われており、受検者の能力が推定できた時点で試験が終了します。つまり、人によって問題数が異なりますので、何問解いたかは関係ありません。
問題文をよく読んで、焦らずに解答していきましょう。
性格検査は全問回答するのが前提
性格検査は基本的に全員同じ内容で、全問回答することが前提で作成されています。そのため、正確に検査するためには全問解答が必須です。途中でやめたり時間切れにならないように注意してください。
たまに寝てしまって回答できなかったという人がいるので注意してください
転職でのSPIの実施方法
転職時のSPIは、基本的に下記の4つのパターンで実施されます。
- WEBテスティング
- ペーパーテスティング
- インハウスCBT
- テストセンター
WEBテスティング
インターネット環境に接続して自分のパソコンから受検します。指定された期間内であれば自分の好きなタイミングで受検できるのがメリットです。
ペーパーテスティング
応募先の企業が用意した会場で、マークシート方式で受検します。テストっぽい緊張感があります。
インハウスCBT
応募先企業内のパソコンで受検します。インハウスCBTを採用している企業の場合、一次面接と同じタイミングで受検することがほとんどです。
テストセンター
リクルートマネジメントソリューションズが準備する専用会場のパソコンで受検します。指定された期間の間に日程や会場を予約して自宅のパソコンかスマートフォンで性格検査を済ませ、能力検査を会場で受検します。
基本的にWEBテスティングで受検がほとんど
この中で、おそらく90%はWEBテスティング形式での実施となります。
企業からの案内をよく確認して臨みましょう。
最近はコロナの影響もあってWEBテスティングがほとんどです
【結論】SPIは能力検査だけ対策しておこう
SPIは、40年以上の歴史があります。
それまでいろいろな人の特性を測ってきて、少しずつテストも改善されてきて現在のSPIができているのです。つまり、自分を偽って性格検査を受けても、それは意外とお見通しだったりします。
また、自分を偽って入社できたとしても、それはつまり「働きづらい環境を自分で選んだ」ということになります。長期的に活躍していきたいと思うのであれば、自分を偽らずに正直な気持ちで性格検査に回答したほうがいいでしょう。
ただ、能力検査はある程度は対策をしておきましょう。出題形式や時間配分などを把握しておかないと、自分の実力を充分に発揮することができません。新卒の時のようにガッツリ対策する必要はありませんが、模試のような感覚で一度通して対策しておくことをおすすめします。
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