就活・転職市場で非常に人気のあるコンサルティング業界は、当然転職難易度も非常に高いです。今回は、コンサルティング業界に転職を検討している方に向けてコンサル業界の構造やおすすめの転職エージェントをご紹介します。
コンサルティング業界の分類
そもそもコンサルと一口に言っても、担当する領域によっていくつかの分類が可能です。
いずれにしても人気があって転職難易度は高いですが、その中でも特徴があるのでご紹介します。
戦略系コンサルティングファーム
企業の経営課題に対して最も上流の戦略策定やアドバイザリー業務を提供するのが仕事です。基本的に相手にするのは大企業のCEOなどで、あなたの判断で数十億、数百億が動いてしまうほどの大きさです。
具体的な業務内容としては、成長戦略、人事戦略、IT戦略、新規事業戦略、マーケティング戦略、デューデリジェンス戦略などです。
【企業例】
- ボストンコンサルティンググループ(BCG)
- アーサーDリトル
- ATカーニー
- ベインアンドカンパニー
- マッキンゼー
- ローランドベルガー
財務アドバイザリー系コンサルティングファーム
M&Aや財務に関連した経営課題へのコンサルティングが主な業務です。M&A支援、企業価値評価、フォレンジック、デューデリジェンス、買収・統合支援などで、外資系銀行出身者や公認会計士などが多く在籍します。
【企業例】
BIG4のアドバイザリー部門を指していることが多い。
- PwC
- EY
- DTT
- KPMG
IT系コンサルティングファーム
ERP(Enterprise Resource Planning)と呼ばれる基幹システムを導入し、業務改善し企業成長を支援するのが大半です。そのほか、CRM、SCM戦略立案・導入など幅広くコンサルティングを提供します。
求人数が多く未経験の人でも転職しやすいのが特徴です。もちろん、コンサルの中では入りやすいというだけであり、そもそもの転職難易度は高いので注意してください。
【企業例】
- アクセンチュア
- デロイトトーマツコンサルティング
- アビームコンサルティング
- プライスウォーター
- ハウスクーパース
組織人事系コンサルティングファーム
人事戦略の立案、人事制度の改革、グローバル人事マネジメント、M&Aに伴う人事制度統合、採用戦略立案など、人をテーマにクライアントにコンサルティングを提供します。
求人数が少ない傾向にあり、組織人事系コンサルティングファームのみを志望して転職活動をするのは難しいでしょう。
【企業例】
- マーサージャパン
- ヘイコンサルティング
- ワトソンワイアット
企業・事業再生系コンサルティングファーム
業績低迷・競争力の低下について、再生支援を行います。大抵の場合は、財務面だけでなく、オペレーション改善・ITソリューションなど実行支援を行います。
中小企業の場合は個人コンサルタントを雇用していることもあるため、事業再生に関わりたい場合は中小企業診断士の資格を取って独立を視野に活動するのもおすすめです。
【企業例】
- グラックスアンドアソシエイツ
- アリックスパートナーズ
戦略コンサルと総合コンサルの選考共通点・相違点
「コンサルになりたい」と夢を持っている方も多いと思いますが、大きく分けると戦略コンサルを目指すのか総合コンサルを目指すのかで選考難易度が全く異なるので注意しましょう。
戦略コンサルは最も上流の戦略策定を担う
まず戦略コンサルは企業の重要な戦略策定をCEOと一緒に検討するような案件が多いです。つまり、一つの意思決定のインパクトが大きく、責任も重大。大きな仕事をしたいと思っている人にとっては非常に良い環境と言えるかもしれません。
また、基本的には戦略の策定にのみ関わり、その実行部分は担当しません。そのため、実行部分まで自分が関わりたいと考えている場合は再検討したほうがいいかもしれません。
とはいえ、最近は戦略コンサルでも実行部隊を抱えることも多くなってきました。年次の若いコンサルは実行部分にも関わる可能性があるため、そこは転職エージェントに相談しつつ決めるのがいいでしょう。
総合コンサルは業務改善などの実行支援も行う
総合コンサルの場合は、業務改善やIT導入などがプロジェクトの中心です。そのため、実行部分も担当することがほとんどです。
イメージとしては、戦略コンサルは監督的なポジションで、総合コンサルはキャプテンです。この辺りは、年収の高低に惑わされずに自分のやりたい方を選んだ方が結果的に幸せになれると思います。
ただし、手を動かしたくない、という理由で戦略コンサルに転職するのは止めておきましょうね。激務中の激務です。
中途採用選考における共通点
- 全体的に転職難易度は高い
- ケース面接があるファームが多い
- 思考力や仮説立案力が試される
まずコンサルの採用選考について、基本的に転職の難易度は高いです。どんなに学歴があっても、どんなに輝かしいキャリアを送ってきていても、ケース面接を突破できなければ入社はできないでしょう。
東大や早慶卒でも普通に落ちるのがコンサルです
【ケース面接とは】
面接官からお題を与えられてそれに回答する形式の面接。
出題される問題の例としては、
- カフェの市場規模を推定せよ
- 東京都のフィットネスクラブの売上を推定せよ
- 缶ビールの市場規模を求めよ
こういった問題が出題される。
【ケース面接の流れ】
- 受験者はまず制限時間(5~10分程度が多い)でアウトプットをまとめるよう指示される
- 前提確認のための面接官に質問することは許可されている
- 制限時間が経つと、あなたがまとめた考えを発表されるように面接官が促す
- 発表した考えを軸にして、20~30分程度の間質疑応答やディスカッションをする
とにかく思考力や仮説立案力を磨いておくことをおすすめします。
実際にどんな思考が必要になるのかは、以下の本を一通り読んでおくと非常に分かりやすいと思いますよ。
中途採用選考における相違点
- 戦略コンサルはケース面接の回数が多い
- 総合コンサルは実務経験重視のケースも多い
基本的には戦略コンサルも総合コンサルもケース面接はありますが、戦略コンサルはケース面接の回数が多い傾向にあります。
例えばマッキンゼーは内定までに5~6回程度のケース面接があったりします。総合コンサルの場合は多くても2回程度でしょう。
それだけ戦略コンサルタントには思考力や仮説立案力が求められているということです
コンサルへの転職に成功するための転職エージェントの選び方
コンサルタントに転職したい場合、転職エージェントの選び方には細心の注意を払うようにしましょう。具体的な方針としては以下の2点を重視することをおすすめします。
- ケース面接の対策ができる転職エージェントを選ぶ
- 大手のエージェントは市況調査程度に活用する
ケース面接の対策ができる転職エージェントを選ぶ
ケース面接の対策は、どこの転職エージェントでもできるというものではありません。コンサル転職に特化したハイレベルな転職エージェントを選ぶ必要があります。
東大に入るために鉄緑会に入るようなイメージです。プロに身をゆだねて確実に成長させてもらうくらいでないと、特に戦略コンサルにはなれないでしょう。
大手のエージェントは市況調査程度に活用する
正直に言いますが、大手のエージェントではケース面接の対策が不十分になってしまうことがほとんどです。そのため最悪使わないというのもありですが、コンサルタント以外の道も検討しているなら活用しておいたほうがいいでしょう。
大手のエージェントは業界ごとに担当者がおり、色々な業界について情報収集をすることが可能です。もしあなたのやりたいことがコンサルではなくインハウスでの実行支援によっている場合、わざわざコンサルの難しい選考を通らなくても裁量を持って活躍できる環境があります。様々な選択肢があることは頭の片隅に入れておきましょう。
コンサル転職におすすめの転職エージェント
コンサル転職には専門的なエージェント、具体的にはケース面接の対策ができるエージェントがいいという話をしました。ここでは、実際にコンサル転職を志望している人におすすめの転職エージェントを紹介いたします。
コンコードエグゼクティブグループ
コンコードエグゼクティブグループは戦略コンサルティングファームへの転職において非常に優れた転職エージェントです。
特徴
- 戦略コンサルの過去問データベースが豊富
- 選考対策がずば抜けてよい
転職難易度の高い戦略コンサルタントに内定実績が多いのはこの2点によるものでしょう。コンコードエグゼクティブグループのみを利用してコンサル転職を行う場合には過去問データベースを利用することができます。
傾向と対策には必須ですね
強み
- キャリアコンサルタントの半数は戦略コンサル出身者や内定獲得者
- ケース面接対策が万全
- 第二新卒でも手厚い支援が受けられる
戦略コンサル出身者がキャリアコンサルタントとして在籍している転職エージェントは非常に少ないでしょう。コンコードエグゼクティブグループではそういった実績のある人からケース面接対策をしてもらえるため、他の転職エージェントとは一線を画すレベルの対策が可能です。
また、社会人歴の浅い第二新卒でも手厚く支援してくれるのが強みです。戦略コンサルの面接対策は基本的に長期間になることが多く、1年近くかけて対策をすることもしばしば。他の転職エージェントなら「社会人経験が浅い」という理由でコンサルタントの求人を断られてしまうこともありますが、コンコードエグゼクティブグループの場合は選考対策ノウハウが充実していることもあり、比較的手厚い支援をしてくれるのが特徴です。
ムービン・ストラテジック・キャリア
ムービン・ストラテジック・キャリアは戦略コンサルティングファームへの転職エージェントとして非常に有名です。国内では最も歴史がある戦略コンサルティング専門エージェントですね。
特徴
- 求人案件が多い
- ケース面接へのノウハウが豊富
歴史のある転職エージェントということもあって、求人の案件数が多いです。様々なコンサルティングファームの求人案件をカバーしているため、戦略コンサルの中でとにかく数を打ちたいという場合はおすすめです。
また、ケース面接への選考対策ノウハウも非常に豊富です。
戦略コンサル転職専門で歴史があるということは、それだけノウハウもたまっているということです。心強いですね。
強み
コンコードエグゼクティブグループ同様、過去問データベースが豊富に存在します。利用にはムービンだけを使ってコンサル転職をするという約束をする必要がありますが、利用しない手はないでしょう。
ただし、ケース面接対策では対面でしてくれる人を希望するようにしましょう。筆記添削ベースの方がいたり、そもそもノウハウに乏しい担当者もいますので、必要あれば担当者を変えてほしいと申し出る判断も必要です。
アクシスコンサルティング
アクシスコンサルティングは戦略系か総合系かを問わず、コンサルティングファーム全般を対象とした転職エージェントです。
特に、総合コンサルの転職支援実績が多いですね。BIG4などに転職を検討している人は利用をおすすめします。
特徴
- 総合コンサル支援数は日本一
- 戦略コンサルへの転職支援実績も増加傾向
戦略・総合問わずコンサルタントになりたいなら非常におすすめの転職エージェントです。
もちろん、利用したからとコンサルになれるわけではありませんが、選択肢が最も多く、実績も豊富なことは大きな特徴です。
強み
- コンサルの選考プロセス全般の対策に強い
- コンサルの独自求人を知り尽くしている
各ファームの意思決定者とパイプを持っており、DX領域の求人にはかなり強みを持っています。DX領域は今後需要が高まってくる領域ですので、求人数は増加していくことでしょう。
Wayout Strategic Partners
Wayout Strategic Partnersは、戦略コンサル転職志願者の評価が急速に高まっているエージェントです。
2019年に設立したばかりの若い会社ですが、かなり評価が高い印象があります。
特徴
- 戦略コンサル経験者が担当してくれる確率が非常に高い
- 少数精鋭で支援サービスに大きな差がない
- 候補者にはケース面接対策を対面で何度も行ってくれる
戦略コンサル出身の担当がつくため、サービスのレベルが非常に高いと評判です。まだ若い会社で実績の多さでは先述の2社には敵いませんが、今後はさらに伸ばしていくことでしょう。
強み
- ケース面接のフィードバックが的確でレベルが非常に高い
- コミュニケーションが誠実
戦略コンサル出身の人に直接フィードバックをもらえる環境は非常にありがたいですね。少数精鋭の会社のため、一人一人のサービスレベルにばらつきがないのもメリットです。
キャリアインキュベーション
キャリアインキュベーションは、PEファンド・戦略コンサル・投資銀行・プロ経営者案件などのハイクラスの転職全般に全方位的に強い転職エージェントです。
特徴
- 戦略コンサルタント経験者や投資銀行経験者の転職に強い
- 国内のほぼ全ての戦略ファームのジュニアクラスからマネージャークラスまでの求人を保有
キャリアインキュベーションは案件が充実しているのが特徴です。また、そもそもコンサルタントを経験していた人向けのサービスということもあり、好待遇のオファーも多くそろえています。
強み
そもそも支援する人材のレベルが高いため、求人案件の質も高いのが強みです。しかし、戦略コンサル出身の人を中心に支援していることもあってケース面接対策はそこまで充実した支援をしてくれるわけではありません。そもそもできる人に対して条件のいい求人の選択肢を提供する会社というイメージで捉えておきましょう。
心機一転コンサルに挑戦という方には向いていないかもしれません
コンサル転職でおすすめしない転職エージェント
コンサル転職でおすすめの転職エージェントを紹介してきましたが、反対におすすめしない転職エージェントも存在します。
個人的にコンサル転職でおすすめできない転職エージェントの特徴は以下の2点です。
- ケース面接対策ができない
- 求人数が多いことをウリにしている
それぞれ解説します。
ケース面接ができない転職エージェントは絶対に使わないこと
まず、この記事で何度も述べてきているように、コンサルタントに転職する場合は基本的にケース面接を避けては通れません。つまり、ケース面接対策ができない転職エージェントはその時点で利用する価値がありません。
ケース面接ができるかどうかは担当者にもよりますが、大手の転職エージェントでは満足のいくケース面接対策はできないと思っておきましょう。彼らは一人が担当している求人数も非常に多く、普通の面接対策は経験があってもコンサルのケース面接は経験していないことがほとんどです。
本気でコンサルを目指すなら求人数が多くても意味がない
また、もしあなたが本気でコンサルタントになることを目指しているのであれば、求人数が多いか少ないかは転職活動において全く関係ありません。重要なのはコンサルタントの求人がどのくらいあって、それに対してどんな転職支援サービスを提供してくれるのかです。
「他の業界も見ておきませんか」と言われてうまくコンサル以外の業種をおすすめされて時間を無駄にすることもあるので、本気でコンサルに転職したいと考えている場合は利用しなくてもいいでしょう。
まとめ
もう一度コンサル転職におすすめの転職エージェントを確認しておきましょう。
コンサルを志望する方はご存じでしょうが、基本的にコンサルタントは激務です。他の会社でどれほど優秀でも、コンサルでは無能の烙印を押されてしまうこともあります。覚悟を持って転職活動を行うようにしましょう。
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